パトリック・クエンティン原作、新藤兼人脚本、増村保造監督。岡田茉莉子共演。二大女優が火花を散らす、と言っても同じフレームに映るのは2シーン、それも同じ場所でしかない。二人が逆の役をやっていても、もちろん一局の碁だったろうけれど、ここでの若尾ちゃんは全く隙のない硬質な演技で、清く正しくを心情とする女性が、醜く不正にまみれた現実を知った時にどうそれと向き合うかという難しい役になりきっていた。